Compass №93

「BAR保志」


 

「七夕」

 

銀座6丁目のバーが開店1周年を迎えた。

 

2004年7月7日の七夕という目出度い日に

 

バーのあかりを灯し始めた「BAR保志」。

 

「リトルスミス」や「バー東京」といった名店で

 

チーフバーテンダーとしてご活躍なさった保志雄一氏が

 

念願であった自らがオーナーとなるお店をオープン。

 

「黒」と「光」を上手く使い大変落ち着きのある

 

「和」と「洋」が折衷した粋な空間が広がるお店。

 

白のバーコートに黒いネクタイ姿が決まっている

 

大変気さくな保志さんやスタッフが提供してくれる

 

豊かな時間を求めるお客さん達で今宵も大盛況だ。

 

まずは久しぶりにカクテルをオーダーしよう。

 

2001年のジャパン・カップの優勝カクテルである

 

「さくらさくら」。ゴードンのジンをベースにした

 

薄ピンク色のカクテルは女性にお勧めしたい一杯。

 

笑顔の保志さんが手際よく材料をシェイカーに落とし

 

肩もとで心地よいシェーキングの音を響かせる。

 

注がれた液体の中にはカクテルピンに刺した赤色の

 

マラスキーノチェリーが静かに飾られているのもイイ。

 

私の隣ではお店にご一緒した秋田からの客人が早くも

 

さらにお隣の初見のお客さんと酒談義を深めている。

 

このカウンターの内と外が渾然とすぐうち解けるのが

 

フレンドリーな保志さんのお店ならではであろう。

 

「保志さん、最近の銀座の景気はどんな様子ですか?」

 

「いやー、昨日なんて暇でさぁ、お客さん沢山連れて

 

遊びに来てくれなきゃ~。よろしくね頼むね~。」

 

ごくたまに放たれるダジャレはスベる事もあるのだが、

 

少しなまりのある保志さんの優しく独特な語り口に

 

ついつい引き込まれてしまうお客さんも多い。

 

 


「流星」

 

オリジナルカクテル数は既に100種を超す保志さんが

 

作り上げるカクテルには「魅せる」を意識したものもある。

 

その一つがジェイ・エフ・ケー(JFK)という名の

 

オリジナルなマーティニ。なんとエチルアルコールが

 

その材料に使われており、パッと着火するという一杯。

 

もちろん「JFK」とはあのアメリカ合衆国第35代大統領。

 

世界中が知る事実をカクテルとして表現することろなどは

 

保志ならではのアイデアと言える作品であろう。

 

その保志さんが作るカクテルはいつもの気さくさとは一転し

 

非常に精密で高い技術を感じさせる仕上がりであり、

 

カクテル上級者達が集まるのも必然的だと言えよう。

 

さて、今宵は最後に暑くなってきた夏にふさわしい一杯に行こう。

 

ホワイトラムとパイナップルリキュールを主材料として

 

ブルーキュラソーとソルトでウェーブスタイルにした後、

 

内側に星型レモンピールを貼りつけたカクテルグラスに

 

シェークした液体を注ぎ込んだ「流れ星」を意味する

 

第16回全国バーテンダー技能競技大会優勝作品、

 

緑色をした「フォーリング・スター」をそっと呑みながら

 

何かこのカクテルグラスに願掛けでもしてみようかな。

 

 

 


「BAR保志」

 

東京都中央区銀座6-3-7

 

AOKI TOWER 8F

 

03-3573-8887

 

最寄り駅

 

地下鉄銀座駅より徒歩5分

 

JR有楽町駅より10分

 

お店一口メモ・・・

 

常連のお客様が中心の有名店です。

 

保志さんの作るカクテルを楽しみにいらっしゃる

 

バー慣れした飲み手の方々が足を運ぶお店であり

 

「銀座の愉しみ方」を佳く知るお客さんが多いです。

 

初心者の方が行くようでしたら出来ればバーに

 

よく足を運んでいらっしゃる方とご一緒なさった方が

 

佳いでしょう。保志さんをはじめスタッフは

 

皆さんお酒の知識が豊富。

 

紅一点バーテンダーの茜ちゃんにも

 

大いに期待したいところです。