Ｃｏｍｐａｓｓ
№９２
「Ｂａｒ Ｓａｉｋｉ」
「青花」
梅雨の蒸し暑い夜にはキリッと冷えたカクテルを
飲みたくなることが皆さんも良くあるだろう。
そんな気分の夜、麻布十番のアイリッシュパブにて
軽く 生ギネスでノドを潤した後、電車で六本木へと向かう。
六本木といえば再開発で誕生した「六本木ヒルズ」が
新しいランドマークとして観光客等を集めているが
今、最も注目したいのは「旧防衛庁跡地再開発」。
大規模な工事が続いており、数年後には六本木４丁目に
何とパリのリッツホテルが誕生するそうである。
そのホテルバーがどのような仕様になるのか楽しみだが
このすぐ側、ホテルアイビスの向かいのとあるビルへ。
１Ｆにはクラブの客引きがいるが、全く気にすることなく
さっさとエレベーターに乗り、４Ｆのボタンをポンと押す。
ドアが開くとお店の看板が見える。「Bar Saiki」。
バードアを静かに開けると店奥のカウンター内から
お２人のバーテンダーの笑顔がこちらの方を向く。
まずはオーナーバーテンダー若林哉樹（サイキ）氏。
若林さんは江戸川区のご出身で生粋の江戸っ子。
３０代後半、江戸っ子らしくどこかピンと一本筋が通り、
ついつい「兄貴」と呼びたくなるバーテンダーである。
その兄貴は青山二丁目の名店、懐石料理とお酒の「青花」他
数店でご活躍後、このお店を始めたのはおよそ二年前。
お兄さんも羽田東急をはじめとしてバーテンダー経験を
持つバーテンダー兄弟であることを付け加えておく。
「蕎麦」
飲み歩き経験が豊富な若林さんは洋酒への造詣が
深いのは当然なのだが、日本酒への造詣もまた深淵。
バックバーの右横にはショーケース型の冷蔵庫があり
実はそこに日本酒がひっそりと保存されてたりする。
今宵は宮城の銘酒「墨廼江」をおでんと共に頂きながら
昨今の六本木バー事情や「焼酎バーは儲かる」話、
また先日お店で開催したという日本酒試飲会の結果を
見せて頂いたりと日本酒談義は盛り上がっていく。
さらにお互い「蕎麦」をこよなく愛するモノ同士であり
日本酒は「蕎麦前」というくらい蕎麦との相性が佳いが
「蕎麦とお酒」の話が始まってしまうともう止まらない。
他のお客様を巻き込んでの蕎麦談義が始まってしまう。
そんな男達を優しく見守ってくれるのは黒いベストが
佳く似合うスレンダー美人、早川愛子バーテンダー。
「エビとかカニとかが大好きなんですよ。」と笑顔で話す
愛子さんは地元である新潟をこよなく愛す女性であり、
美容師として働いていたが「人」が好きなことから
もっと人を近くに感じる職をとバーテンダーに転職、
現在若林さんのもとで技術とサービスを勉強中だ。
カウンター上にはフレッシュフルーツが数種用意され
これをタップリ使った若林さんのカクテルは絶品だが
今日は愛子さんにオススメカクテルを作って頂くことになり、
選んだその一杯はウオッカベースの「バラライカ」。
幾分緊張しながらも真摯な取り組みで愛子さんが作った
バラライカは実に基本に忠実なスタイルで佳い飲み口。
彼女の性格が表れた優しいカクテルに仕上がっている。
ウオッカベースのサイドカーとも言えるこのカクテルの白さは
まるで愛子さんの故郷に降り積もる白雪のようである。
このお二人、そして素敵なお客様達からいつも元気を
分けてもらえるこの空間をいつまでも大切にしたいと思う。
「Ｂａｒ Ｓａｉｋｉ」
東京都港区六本木４－１２－１０
グレイト綱ビル ４Ｆ
０３－３７９６－５６７３
最寄り駅
地下鉄大江戸線六本木駅より徒歩２分、
日比谷線六本木駅より３分
お店一口メモ・・・
一人でぷらっと立ち寄るのも佳し、
ご友人と２～３人で立ち寄るのも佳しの
落ち着きあるお店ですが
若林さんや愛子さんの気さくなお人柄が
肩の力をふっと抜いてくれる
とてもアットホームな空気を持つお店です。
チャージ６００円、ビール５００円、カクテル９００円～
女性お一人でも安心できることでしょう。
私が好きなおでんや温玉キムチなどフード類も充実しており
食事を取りながら話に花が咲かせる事も出来ます。
バー初心者の方も気を張らずに豊かな時間を
過ごすことが出来るグッドバーです。
