Ｃｏｍｐａｓｓ
№９０
「Ａｑｕａ－Ｖｉｔａｅ」
「命水」
九州の中枢として１３０万強の人口を抱え
アジアの交流拠点として発展し続ける「福岡市」。
その九州福岡の歓楽街を一つ挙げるならば
「中洲」という文字がまず初めに浮かぶと思うが
バーファンの間ではその「中洲」に続けと
今注目されている第二の歓楽街が「大名」である。
居酒屋を中心に古くからのビル店舗が軒を連ねる
「中洲」とは少し違いカフェバーやレストランなど
比較的若い客層をターゲットとしているのが
「大名」という街の特徴的なポイントだろう。
天神の有名百貨店「岩田屋」から徒歩数分のビル、
「メゾン天神」と書かれたビルの２階へ向かうと
ラテン語で「生命の水」という言葉を指し、
ウイスキーやスピリッツの語源ともなった
「Ａｑｕａ－Ｖｉｔａｅ（アクアビテ）」
と書かれたバー内にやわらかく灯りが点っている。
静かにバードアを開けると心地よい曲線を描く
一枚板のカウンター中央には口髭をキッチリ整え
４０歳を少し越えたくらいかなと思われる
スラッとした細身のオーナーバーテンダーが
突然の一見客を笑顔で落ち着き迎えてくれる。
シンプルで個性的なデザインからファンも多い
バング＆オルフセン社製のスピーカーからは
ボッサがひたすら美しくそして優しく流れており、
カウンター右翼内にはマックＰＣの姿も見える。
バックバーに並ぶ約９０種類のラムをはじめとして
メニューの中にはジン、ウォッカ、テキーラなど
「スピリッツ」の充実ぶりは目を見張るものがあり
店主のお酒に対するこだわりが一目で伝わってくる。
オーナーバーテンダー、藤波哲司氏。
「南酒」
飲食業界に身を置き約２０年のキャリアを持つ
藤波さんは FBO(料飲食専門科団体連合会)認定
「スピリッツアドバイザー」という資格を取得し
それを活かしお客様へ的確なアドバイスを提供する。
「福岡のバー業界は歴史もあり、老舗から新店まで
１００店を越すお店、そしてそこには大変個性的な
バーテンダー達やお酒達が揃う素晴らしいバー文化
を持っております。これを是非とも広めていきたい。
多くのお客様、特にこれからバーの世界を知ってほしい
若いお客様へそのきっかけを作りたいと思います。」
と藤波さんは九州男児らしく熱く私に語ってくれる。
そんな藤波さんは福岡のバー１１６店を分かり易く
写真とコメントで紹介した「Fukuoka Bar Book」を
手掛けた人物であり大手書店の本棚にも並んでいる。
そろそろ掲載店舗データも古くなってきたので
新バーブックの発刊を検討している最中とのことだ。
また、「THE BAR'S INDEX FUKUOKA」という
サイトを運営。バーマップやバーテンダー紹介など
充実したコンテンツが多くのアクセスを呼び込む。
福岡をこよなく愛する藤波さんがアクアビテを
ここ大名に初オープンしたのは平成８年の４月だが
一時店名と場所を変えた後、平成１５年３月に再び
大名にリターンオープン。２周年記念としてお客様に
提供するお酒があると聞きボトルを見せて頂くと
それはなんとマニア垂涎のカリブ海マルティニク島
で生産されたヴィンテージラム「クレマン１９５２」。
これを原価にて提供するというのだから藤波さんが
この上なくお客様を愛し大切にする気持ちが伝わる。
その風貌から一見頑固そうにも見えるだろう藤波さんだが
３０代から５０代を中心とした九州のみならず全国の
男性洋酒ファン、そして福岡のバーマンのみなさんが
藤波さんを慕いこのお店に集うのも頷ける止まり木だ。
固すぎず柔らかすぎない空気がとても心地佳くさせる
店内の落ち着いた雰囲気が一日の疲れをきっと優しく
癒してくれること間違いない大名の「命の水」である。
「Ａｑｕａ－Ｖｉｔａｅ」
福岡市中央区大名１－２－１２
メゾン天神１０２
０９２－７１５－００５８
THE BAR'S INDEX FUKUOKA URL
http://www.geocities.jp/fukuoka_bar/
最寄り駅
地下鉄天神駅・西鉄福岡駅より徒歩５分
お店一口メモ・・・
カウンターのストゥールに一人で座るのも佳し、
カリモク製のテーブルで仲間と呑むのも佳し、
堅苦しすぎず、砕けすぎずゆったりとお酒を
愉しみたいバー空間「Ａｑｕａ－Ｖｉｔａｅ」。
男性客が中心とのことですが、スピリッツや
ラムの人気が拡がりつつある若い女性の皆さんにも
是非一度足を運んで頂きたいバーです。
初心者の方でも藤波さんが適切なアドバイスで
ピッタリのお酒を選び出してくれることでしょう。
もちろんラムファンならば是非行きたいところ。
福岡・大名に行く際には必ず立ち寄りたい１軒です。
