Ｃｏｍｐａｓｓ
№８７
Ｂａｒ 「 Ｇａｒｄｅｎ ｅｅｌ 」
「波乗」
「湘南」という地名を聞くとマリンスポーツ、
その中でも代表格ともいえる「サーフィン」
という言葉を連想する方も多いであろう。
そして７０年代よりこの地をベースとして
「湘南サウンド」を世に広めたグループ
桑田佳祐氏率いる「サザンオールスターズ」も
「湘南」を語るには欠かせない存在である。
その桑田氏の出身地でありサザンの歌詞の中にも
たびたび登場する街「茅ヶ崎」の海辺は
日本に於けるサーフィン発祥地ともされ
海岸線をドライブすると波乗り技術の鍛錬に励む
サーファーの姿を見つけることが出来る。
そんなサーファー達の街である
湘南茅ヶ崎のバーと聞いて思いつくのは
波乗りを終えた彼らサーファー仲間達が
ワイワイと酒を酌み交わしながら
本日の波乗り成果を語り合うに相応しい
カジュアルな雰囲気で気軽に飲める
リゾートバーのような店舗を連想してしまう。
しかし今宵足を運ぶそのお店は
外観こそスコットランドのレストランか
それともパブか何かのお店思わせるが
バードアを押し一歩店内へ足を踏み込むと
英国のアンティークを使用したバックバーと
ブビンガ材を使った長さ７メートル程ある
一枚板のバーカウンターが迎えてくれる
正統派の英国風オーセンティックバー。
Ｂａｒ 「Ｇａｒｄｅｎ ｅｅｌ」。
「花園」
店名はカタカナ読みで「ガーデンイール」。
和名は「チンアナゴ」という海洋生物だ。
白く細長い体に黒い水玉模様が特徴的、
砂の中からその細い身体をユラユラさせ
何本もの個体が海流に揺られる姿が
まるで風になびく花園のように見えることから
ガーデンイール（庭のウナギ）と呼ばれている。
オーナーはご主人が茅ヶ崎ご出身の京島ご夫妻。
カウンターにはどこか知的で凛とした女性である
京島真紀バーテンダーが洋酒は初心者であるという
地元のお客様にも丁寧にアドヴァイスなさっている。
真紀さんは銀座や赤坂をはじめ都内を中心に
バーテンダー修行を経験し実力をつけた正統派だ。
モスコミュールには自家製のジンジャーウオッカ、
マルガリータやソルティードッグには沖縄産の海塩、
ブラッディマリーには２種類のフレッシュトマトを使用。
ブルーベリーをはじめフレッシュフルーツも豊富に使い
どのレシピにも真紀さんの「こだわり」が現れている。
ここまでこだわり確かな味を表現出来るのは間違いなく
真紀さんが修業時代に同僚や上司、そしてお客様に
大変厳しく鍛えられたに違いないと強く確信する。
またとても嬉しいことに京島ご夫妻はお二人とも
私同様シングルモルトウィスキーをこよなく愛し
ボトラーズ、オフィシャル問わずモルトに造詣が深く
スコッチ・モルトウィスキー・ソサエティへも入会し
同会が提供している品質確かなモルトウィスキーを
本当にこの値段でいいのか？という良心的な価格で
モルト好きなお客様へ最高のワングラスを提供する。
さらに魚河岸で仕入れた北海道産のみずダコを
軽く炙りカルパッチョ仕立てにした一皿をはじめ
新鮮な魚介類を豊富に使った本日のオススメ皿や
日向地鶏を自家栽培モノのローズマリーで
風味付けした味わい在るローストチキンなど
コックのご経験があるご主人の作る料理達は
これまたどれも本格的なラインナップである。
肉塊が見事な世界三大生ハムの一つに数えられる
スペイン産生ハム「ハモンセラーノ」のスライスは
しっとりとした食感に薄味ながらも独特な味わいがあり
病みつきになる方がいらっしゃるのにもうなずける。
まだお店はここ茅ヶ崎にオープンして間もないが
店内の落ち着いた雰囲気とお酒のラインナップ、
そして茅ヶ崎という土地柄を大事にしながらも
折り目正しい京島ご夫妻の適切な接客サービスは
早くも風格すら感じさせる注目したい一店である。
Ｂａｒ 「Ｇａｒｄｅｎ ｅｅｌ」
神奈川県茅ヶ崎市幸町２４－２４
佐藤ビル １０１
０４６７－８６－１１０８
最寄り駅
ＪＲ茅ヶ崎駅より徒歩３分
お店一口メモ・・・
「ここは茅ヶ崎なので。」と真紀さんは
おっしゃいますが何とチャージ料無し。
スタンダードカクテル６５０円～
シングルモルトウィスキー６００円～
その他ウィスキーやスピリッツ５５０円～
ギネスやベルギービールなどもあり
食事も一品４５０円～９５０円程度と
このコストパフォーマンスには脱帽です。
茅ヶ崎の名店となる日も遠くは無いと思います。
湘南はもとより神奈川県内のバーファンの皆さんや
バー初心者のお客様、女性お一人のお客様にも
是非とも扉を押して頂きたい一店です。
