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№74     

「パイプのけむり 池上町本店」


 

「一宮」

 

人口44万5千人を誇る北関東の最大都市「宇都宮」。

 

江戸時代にはランドマークともいえる

 

「二荒山神社」の門前町として発展した

 

この地の由来も諸説は色々とあるが

 

その二荒山神社の別名であった

 

「下野国(栃木の旧国名)『一の宮』」が

 

変化したという説をはじめとして

 

いずれの説も由来はこの神社にあるとされる。

 

宇都宮と言えば全国的にも

 

「餃子の街」として知れており

 

餃子の消費量日本一が故に

 

この名前が名付けられた訳であるが

 

市中では老舗から新規店まで各店個性ある餃子を提供し

 

日々市民や観光客の舌を大変楽しませている。

 

しかし洋酒ファン、そしてバーファンなら

 

餃子の街ではなくもう一つの顔に着目する。

 

その顔こそ「カクテルの街 宇都宮」。

 

「宇都宮カクテル倶楽部」という独自の団体をも持ち

 

国内外のカクテルコンペティション入賞者を

 

多数輩出する宇都宮では日々バーテンダー達が

 

競合と協力を繰り返しながらバー文化の発展や

 

調酒技術の向上にこつこつと尽力を注いでいる。

 

その代表的存在とも言える老舗バーが

 

この街の歓楽街池上町に今宵も灯りを点す。

 

女性お一人でもくつろげるパブを目的に

 

昭和49年開店の「喜ばれることを喜びとする」名店。

 

「パイプのけむり池上町本店」。

 

 


森澤 敦チーフバーテンダー

 

「別物」

 

ビル入口には白髪白髭、赤い蝶ネクタイが似合い

 

右手にビアジョッキ、左手にパイプを持った

 

コミカルな老紳士が描かれた看板がお客様を出迎えてくれる。

 

開店時間とともに早速エレベータで5Fへ向かい

 

年季有るガラス窓付きのバードアを開けると

 

そこには美しい模様が織り込まれている

 

赤銅色系の絨毯が敷き詰められたパブホール上に

 

アンティーク調の丸テーブルがツヤ良く輝き

 

お店の年輪を感じさせてくれる。

 

フロア中央奥にあるバーカウンターへ進み

 

ほぼ中央のストゥールに腰掛けると

 

落ち着いた物腰がそのバーテンダー経歴を語る

 

森澤 敦チーフバーテンダーと

 

すらっとした長身で折り目正しい接客術を持つ

 

青木政広バーテンダーがようこそと迎えてくれる。

 

外が寒かったこともありホットウィスキーをオーダーし

 

ゆっくりとノド、そして身体を温めながら

 

お二人と昨今のバー事情やお酒の話に花を咲かせる。

 

地方のバーカウンターに立つバーテンダーの皆さんは

 

多くの方々が東京、特に銀座のバーに対して

 

尊敬と憧れの念を抱きつつ地方のバーを

 

それらの二の次のバーと位置づけがちであるが

 

私は全くそのようなことは無いと思っている。

 

調酒技術や接客、酒種類に関して劣るようなことは無く

 

むしろその土地独特の酒場の空気や人々の温かみは

 

銀座をはじめ都内で味わうものとはまた別物であり

 

その「土地の臭い」を実感するにはまず酒場へ

 

足を運ぶべきだと常々感じているところである。

 

お二人のバーテンダーと話が盛り上がるにつれて

 

その想いは一層強くなるばかりである。

 

佳きバーには佳き主人たるバーテンダーあり。

 

 


「パイプのけむり 池上町本店」

 

栃木県宇都宮市池上町2-1

 

タナカビル5F

 

028-635-9281

 

最寄り駅

 

JR宇都宮駅より徒歩20分 東武宇都宮駅より徒歩10分

 

http://www.paipunokemurihonten.com/

 

お店一口メモ・・・

 

宇都宮の老舗バーは年中無休。

 

パブらしいお店は大人数でテーブル席も良し、

 

ひとり客としてカウンターに座るのも良し。

 

地元のお客様を中心にカウンターはいつも賑やか。

 

バー初心者の方も安心して入店できる

 

とても温かい雰囲気を持ったバーだと思います。

 

各種イヴェントなども随時行われており

 

詳しくはお店のホームページでご確認してください。

 

宇都宮へ行く際には是非立ち寄りたいお店です。