Compass
№68
JAZZ&地酒「in F」
「泉源」
東京都練馬区大泉学園。
古くは小榑村(こぐれむら)といい、
明治24年埼玉県から東京府に併合の際に
小榑の「小」と、この辺りの水源地である
井頭池の泉の「泉」の二文字を引用し、
「小泉」と書いて「おいずみ」と
呼んでいたが「小泉」では間違いやすいため
「大泉」と呼ぶことになったそうである。
大正震災直後、この地を一大学園都市とする
開発計画があり、大泉学園の名に改めたが、
大学誘致も住宅開発も思うように進まずに
学園都市とならぬまま現在に至っている。
しかしここ数年の駅前再開発事業により
ガラリと生まれ変わった感があり、
足をのばす機会も多くなりそうだ。
私は洋酒と同様に、
いや、ある一面ではそれ以上に
日本酒についても大変興味を持ち、
そしてこよなく愛しているつもりである。
また他方では音楽を愛し
中でもスタンダードを中心としたジャズを好み、
よくライヴなども聴きにすすんで足を運ぶ方なのであるが、
その両者を一緒に愉しみたいと
勝手ながら随分と欲を出してみたりすると
最近流行の傾向にあるらしいが、
六本木や西麻布あたりのちょっと洒落た
蕎麦店や和食店を中心とした「和」のお店でも
BGMとしてジャズが流れているのを耳にする。
しかしながら大部分のお店は有線放送であり、
日本酒の方も皆さんお馴染みの有名銘柄を
5~6品揃えている程度のお店が多く、
凝り性の私にとっては少々物足りない。
そんな時に決まってお邪魔する
お酒佳し、音楽佳しの隠れ家的お店が大泉学園にある。
JAZZ&地酒 「in F」。
名ピアニスト福田重男氏& phat 藤原大輔氏
セロニアス・モンクを熱演する藤原大輔氏
「贅沢」
店内に入ると左手にはピアノがすぐ目に入り、
右手にはテーブル席、その奥に見えるは
どこか暖かさを感じる木目のカウンターと椅子。
フロア壁の本棚には沢山の書物やCDが所狭しとならび、
カウンター横の壁には新潟の地酒銘酒ラベルポスター、
店内あちらこちらには地酒の酒瓶がならべられている。
カウンター内のTVではサッカー中継が映し出され、
店内には先ほどの酒瓶とともにサッカーに纏わる物も多く、
オーナーの日本酒好き・サッカー好きがすぐに伺われる。
日本酒のラインナップも実に豊富で
新潟ご出身の佐藤マスターが選び出した
「八海山」「緑川」「麒麟山」「スキー正宗」といった
越後の地酒をはじめとして
「十四代」「東北泉」「富久長」「酔鯨」といった
全国各地の銘酒が取り揃い、
飲み手ののどを潤してくれる。
日本酒を呑むとなればこだわりたいのは酒の肴。
新潟を主要生産地とする
酒造好適米「五百万石」米から生まれる
新潟県村上市の銘酒「〆張鶴(しめはりづる)」と
その生産地:村上に流れる三面川で
伝統漁法により捕れた鮭を
塩漬け→塩抜き→寒風にて乾燥させた
「鮭の酒びたし」との取り合わせは最高である。
さらに佐藤マスターが阿佐ヶ谷のとある
「屋台のおじさん」直伝の味を
アレンジ・発展させたという手作りの
「特製おでん」はこれまた絶品で、
添えられた柚子胡椒が一層味を引き立てる。
また、店内では毎日生ジャズライヴが行われており、
佐藤マスターの人徳と言うべきだろう、
国内でご活躍するトップミュージシャン達が
大泉学園の地まで足を運び、時には酒を飲みながら
アットホームなステージで熱演を展開する。
佐藤マスター自らもステージに立ち、
ウッドベースを奏でるのも見逃せない。
私にとってのこんな心の贅沢は
「in F」でしか味わえないだろう。
気合い漲る福田重男氏のピアノ演奏
JAZZ&地酒「in F」
東京都練馬区東大泉3-4-19
津田ビル3F
03-3925-6967
最寄り駅
西武池袋線大泉学園駅より徒歩5分
http://homepage2.nifty.com/in-f/
お店一口メモ・・・
地酒は一合650円~、
「酒びたし」をはじめおつまみ類も
600円~と大変リーズナブルです。
ちなみに特製おでんは900円。
地酒の他、焼酎やウィスキーも揃っています。
女性の一人客も多く、
アットホームな雰囲気の中、
演り手も聴き手も
大変リラックス出来るお店です。
ミュージックチャージは
ミュージシャンごとに異なりますので
お店のホームページにてご確認下さい。
※写真のお二人
ピアノ:福田重男
http://shigeofukuda.cool.ne.jp/
サックス:藤原大輔(phat)