Ｃｏｍｐａｓｓ
№６７
「Ｗｅ！Ｓｐｏｔ １０９」
「開放」
北海道の政治と文化中心地、札幌市。
その歓楽街として全国的にも有名な
「すすきの」の風物詩の一つに
「市電」の走る姿がある。
この市電は昭和２年の札幌市交通局発足以来
「札幌市民の足」として活躍したが
地下鉄の開通を初めとする交通の発展により
次第に路線を縮小せざるを得なく
現在では1路線のみの運転となっており
札幌市営バスも先日廃止されたことからも
まさに市電にとっては危急存忘の秋である。
しかしながら市民の中には
この市電をこよなく愛す方も大変多く、
もちろん私もその中の一人であり
是非とも今後もこの電車の姿を
残して頂きたいと切望している。
この市電「すすきの駅」から歩いてすぐ、
焼鳥・おでん・おばんざいの名店「車屋」や
うなぎと地酒を愉しめる良心店「うなぎのまんまる」をはじめ
食の名店が集まるスポット「プラザ１０９」へ向かう。
本日のお目当てのお店は
1階のオープンスペースにお店を構える
開放的なパブリックバー「Ｗｅ！Ｓｐｏｔ １０９」。
札幌ではまだまだ少ないキャッシュオンデリバリー型
つまりオーダードリンクと代金とをその場で交換する
いわゆる「一杯呑み屋方式」を採用することで
オーセンティックなバーとは
またちょっと一味違う「気軽さ」を持つスポットであり
たとえバー初心者の方でも
安心してストゥールに腰掛けることが出来る。
キルケニーやギネスなどをパイントグラスで呑むところなどは
アイリッシュパブの趣さえ感じられるであろう。
「北勝」
バックバーの上部には７～８台のＴＶが取り付けられており
お客側としてはスポーツ観戦などをしつつ
一杯というやり方もありだろう。
こういうお店で深酒は似合わない。
さっと立ち寄り、ぱっと２～３杯お酒を煽り
スッと席を立つのが気持ちよく酔えるのかなと私などは考える。
店長は北 浩行氏。
この日は白いギネスビールのＴシャツに
センスの佳い眼鏡と顎髭がぴったり似合う。
洋酒のみならず日本酒や本格焼酎にも造詣が深く
お店の品揃えは本格バーとも遜色はない。
笑顔の北さんの瞳の奥からはお酒への興味と愛情が
ひしひしと、いやビンビンと伝わってくる。
ラインナップ中でも日本酒「北の勝 純米吟醸」などを
置いている所は私にとっては大変ニクイところだ。
このお酒は日本最東端の酒蔵であり
明治２０年９月創業の老舗酒蔵である
北海道根室市「碓氷勝三郎商店」が醸し出すお酒であり
その消費はほとんどが地元ならびに根釧地方のため
その他の地域では非常に入手困難となっており
日本酒ファンの間でも「幻の酒」と言われる酒である。
私はかつての大漁港街：北海道釧路市に住んでいたことがあり
その時に釧路の歓楽街「栄町」のとある居酒屋で
この純吟とはじめて出会ったのだが、
大変口当たりの良い飲み口の中に
僅かに北酒らしいコクがあり
料理との相性が何せ抜群なのである。
私の住む東京ではまずお目にかかることはなく
時折根室特産の花咲ガニのボイルあたりを肴に
無性に呑みたくなるお酒だったりする。
そんな通好みのお酒までもカッチリ取り揃え
一方でお酒初心者の方でも安心できる雰囲気は崩さない
北さんの飽くなきお酒への興味が尽きない限り
また是非立ち寄らせてもらいたいお店である。
「Ｗｅ！Ｓｐｏｔ １０９」
札幌市中央区南４条西５丁目
ＰＬＡＺＡ１０９ １Ｆ
０１１－５１１－２７００
最寄り駅
札幌市営地下鉄南北線・市電すすきの駅より徒歩２分
お店一口メモ・・・
建物内にあるにもかかわらず
人通りあるスポットにあるお店は
どこか欧州のオープンカフェにも
似た気軽な雰囲気があります。
３：００ｐｍからオープンしており
夕暮れ前ににちょっと一杯という
お客さんも多いのではないでしょうか。
北店長をはじめスタッフのみなさんは
大変気さくな方ばかりで
バー初心者の方や女性同士などでも
安心できる心地よい空間です。
バックバーには並んでいない
レアなお酒などもございますので
北店長にオススメをお願いすると
きっと佳いお酒が登場することでしょう。
