Compass

№53     

「 teoria 」


 

「幸せ」

 

ギリシャ語で「幸せ」を表す単語【teoria】。

 

この美しい響きを店名に冠した

 

一軒の隠れ家的バーが

 

北の大歓楽街・札幌ススキノのとあるビル地下に。

 

お店を取り仕切るのは体格良く、

 

まるで格闘技家をも彷彿とさせるマネージャーの山本氏。

 

当ホームページでもご紹介させていただいている

 

「Abbey Road」の橋場オーナーなどとも親交のある方であり、

 

「硬派」という言葉が良く似合う方だ。

 

店内は一見雑然としているが

 

止まり木のストゥールに腰掛けると

 

不思議と落ち着くのが面白い。

 

モルトからビールまでアルコール類は一通り取り揃っており、

 

酒通から初心者まで幅広く愉しめそうなお店である。

 

山本さんは最近特にシングルモルトウィスキーに

 

大変ご関心をお持ちとのことであり、

 

私の好きなアイラからハイランドまで各種のモルト瓶も

 

バックバーに立ち並ぶ。

 

ギリシャと言えば

 

ヨーロッパ東部にある日本の約3分の1の面積の国であるが、

 

この国が世界中に及ぼした影響は計り知れない。

 

古代ギリシャ語は英語、フランス語、スペイン語など

 

多くの言語を産み出し、

 

古代ギリシア文字から生まれた

 

アルファベット文字は我々日本人も大変馴染み深い。

 

 


「五輪」

 

そんなギリシャで呑まれている一般大衆酒と言えば

 

「ウゾ(ouzo)」というお酒。

 

ブドウの皮等を原料に「アニス」という名の

 

消化器系の不調などに効く香草で香り付けしたもので

 

水で割ると白濁するお酒だ。

 

アルコール度数は40度。

 

「パスティス」といって、第一次世界大戦開始時に

 

世界各国で禁制品に指定された

 

俗称マリファナ酒こと「アブサン」に模倣させて作られ、

 

その代用品として飲まれたものである。

 

ギリシャの一般階級は皆テーブルオリーブなどを囓りながら

 

このお酒を水割りでグイグイとやる。

 

都内をはじめ、全国のギリシャ料理店でも

 

グラス一杯450円から600円くらいというところであろう。

 

一方でギリシャの高級酒というとブランデーだ。

 

代表的な銘柄と言えば「メタクサ(Metaxa)」。

 

このブランデーはブドウを原料としながらも

 

秘伝エキスとして香草やバラの花びらのエッセンスが

 

加えられており、コニャックやアルマニャックよりも

 

まろやかな味に仕上がっている。

 

またボトル作りも非常に特徴的であり、

 

メタクサ社創業100年記念として発売されている

 

「メタクサ・センテナリー」のボトルは

 

青地に金粉で絵文字を描いた古代ギリシャの壺を

 

イメージして作り上げられ、

 

遙かなる古代ギリシャを回想させる容姿である。

 

一昔前はニッカウヰスキー社の正規物しか流通せず

 

その価格が10万円もしたのだが、

 

最近は並行輸入物が1万円前後で販売されており、

 

我々にも手の届く製品となっている。

 

札幌は嘗て冬季オリンピックが行われた都市でもあり、

 

そのオリンピック発祥の地であるギリシャの話などを

 

ここ札幌で山本さんとするなんてのも、

 

つい面白味を感じてしまうのは私だけであろうか。

 


「teoria」

 

札幌市中央区南3条西3丁目

 

第六桂和ビル B1F

 

011-219-5678

 

最寄り駅

 

札幌市営地下鉄南北線すすきの駅より徒歩3分

 

お店一口メモ・・・

 

どことなく「書斎」を感じさせる店内インテリア。

 

オーセンティックというよりも割とカジュアルな感じで

 

女性の方お一人でも入店しやすいと思います。

 

バーの世界が初めてという方なんかには

 

特にオススメのお店でしょう。

 

店名の通りきっと幸せなお気持ちになるお店です。

 

※大変残念ながらご閉店なさいました。