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№49     

「ボルドー」


 

「社交」

 

戦前の銀座のバーと言えば

 

華族や旧財閥出身者をはじめとした

 

上流階級紳士の社交場として

 

大きな役割を担っていたと聞く。

 

銀座八丁目の老舗バー「ボルドー」。

 

昭和2年開店。

 

ビル建築を中心とした近代・現代建築物の中に

 

まるでその場所だけは

 

時間が止まっているかのような

 

蔦(ツタ)の絡まる石造りの建物と木製の重厚な扉。

 

つい数年前までは一見さんは一切お断りの

 

 高い店格と利用料金を持ち合わせた

 

一般にはナカナカ縁遠いお店だったが

 

時代の変化を受け

 

広い客層に対応することとなった。

 

しかしながら文化人を中心とする

 

昔からのお客様の客足は絶えない。

 

福沢諭吉が創立した日本最古の

 

会員制高級社交クラブ:交詢社(こうじゅんしゃ)の

 

メンバーのお客様も数多い。

 

さあ、木製ドアをノックし

 

昭和初期の香りたっぷりの雰囲気を味わうとしよう。

 

 


「舶来」

 

ママに導かれ

 

まるでレトロ映画に登場しそうな感のある

 

落ち着いた雰囲気の店内へ案内される。

 

ほんの一瞬だが

 

まるで自分がタイムスリップしたかの様な

 

妙な感じを覚えてしまう。

 

BGMはお客様達の話し声だけだ。

 

広めのバーフロアは

 

2Fまで吹き抜けの造りとなっており

 

1F・2Fともにマホガニー材を使用した

 

骨董品としてもその価値は高い

 

舶来物のアンティークなテーブルや椅子が

 

美しく輝きながらお客様の着席を待っている。

 

1Fフロア奥には数席だけの止まり木。

 

その老舗の止まり木を守るのは

 

マスターの新沼 良一氏。

 

開店当時からほとんど変わっていないと言う

 

スタンダードカクテル数十種類を

 

丁寧に調合しお客様に提供する姿は 

 

飲み手を安心させる。

 

カクテルの中で一番オーダーが多いと言う

 

マティーニを飲みながら

 

60年以上にもなる昭和初期に

 

私が座るこの同じ止まり木で

 

お酒を愉しんでいた方々がいた事を思うと

 

何とも不思議な気持ちになるとともに

 

お店の開店から今日までに

 

恐らく何百、何千という数に上るであろうお客様達が

 

それぞれどのようなお酒を嗜み

 

どのような会話を愉しみ

 

そしてどのようなことを思い考えながら

 

この止まり木を愛用していたのかを想像すると

 

思いは止まることを忘れてしまう。

 

古き良き時代を感じさせる

 

本当に素敵なバーである。

 

 


「ボルドー」

 

東京都中央区銀座8-10-7

 

03-3571-0381

 

最寄り駅

 

地下鉄銀座駅から徒歩6分

 

お店一口メモ・・・

 

やはり客層はご年輩の方々が比較的多いですが

 

店内に一歩足を踏み込むと

 

ここが本当に銀座?という程

 

落ち着いた静かなスペースになっており

 

お酒と会話の両方を楽しみたい方にはオススメです。

 

チャームチャージ600円

 

テーブルチャージ1,000円

 

ホステスさんについてもらうとサービス料50%プラス。

 

カクテル類は1,300円~となっております。