Ｃｏｍｐａｓｓ
№２７
ＰＲＩＶＡＴＥ ＣＯＣＫＴＡＩＬ ＢＡＲ 「ＳＡＭＳＡＲＡ」
「迷宮」
茨城県つくば市。
緑多く豊かな自然に囲まれ、
２００以上の研究所が建ち並ぶ
北関東の技術先端都市。
歴史も大変古い土地として、
大和朝廷以前からこの地に人が住んでいたことが
古い文献にも数多く記述されている。
その中心部からやや離れた高台の住宅街。
夜ともなれば街灯も少なく虫の鳴き音だけが静かに響き鳴る。
この近くのどこかにお客様のご予約があるときにしか
ＯＰＥＮしないというＰＲＩＶＡＴＥ Ｂａｒがあると聞き、
闇夜をどこかどこかと探し歩くが、
土地勘も全く無くまるで迷宮を彷徨うようである。
途方に暮れる暇もないので
通行人の方に親切に道を教わりながら、
見た目倉庫か何かのような一軒の建物前へ到着する。
その側面へ回り込むと入口らしき扉を見つけることになる。
その扉にはスポットライトに照らされ
「ＳＡＭＳＡＲＡ ＣＯＣＫＴＡＩＬ ＢＡＲ」
「ＰＲＩＶＡＴＥ」という
２つのプレートが黄金色に輝いている。
大きな深呼吸をしながらやっと辿り着いた安堵感と
未開のバーへ足を踏み込む興奮が
自分に入り混じるのを感じつつ
店内へ向かうため階段を進み、
いよいよ店内へ繋がるバードアを開けた。
そこには開放感溢れるやや広めの店内、
左右約１０メートル強の美しい止まり木と
１３脚の革製ストゥール。
各ストゥール前のカウンター上は
それぞれがスポットライトによって
それがまるでテーブルクロスのように見える
楕円形の円光が浮かび上がり、
大変大きな壁一面のバックバーには
洋酒のボトル達が一本一本大変見やすく飾られている。
程よい音量でクラシックがＢＧＭとして流れ、
カウンター内ではやや小柄で
どこか昔の洋画に登場する博士を思わせる
渡慶次 治夫オーナーバーテンダーが
優しく出迎えてくれた。
「氷玉」
いつもの通りに
まずはノドを湿らすため
ジントニックからオーダーする。
「ここ最近一週間は東京・千葉方面からのお客様が
多くお越し下さいますね。」とおっしゃる渡慶次さんは
ご自身でお店のホームページを開設し、
お店のご紹介の他にコラムや酒場での豆知識、
２，６００種類を越えるカクテルレシピ紹介といった
充実したコンテンツの構成で
大変多くのホームページファンをお持ちであり、
それをご覧になっているお客様が足を運んだのだろう。
ふと手元のグラスに目を落とすと、
一般的にロングドリンクスカクテルに使用するアイスと言えば
クラックド・アイスやキューブド・アイスであるが、
日光の天然氷を使い、
ご自身の手で加工した大小３～４種類ほどの
大きさの違うランプ・オブ・アイス（アイスボール）を
ご使用されており、
ゆっくりと時間をかけてカクテルを味わっても
グラス内の液体温度に思ったほど差異が生じないよう
溶けにくくなさるお気遣い。
渡慶次さんのカクテル作りの丁寧さと
水や氷へ対してのこだわりを深く感じさせる。
私の後にいらっしゃった筑波大の学生さんと思し召し
お２人の女性が私とは反対側のストゥールへ腰掛け、
フレッシュフルーツを使用した
見た目も鮮やかで味覚・視覚の両面から
飲み手を包み込んでくれるであろうフローズンカクテルを
ゆっくりと日々の会話とともに愉しんでいる。
まるで書店でよく見かけるｄａｎｃｙ○や東京カ○ンダーといった
大人の流行情報雑誌の特集ページを見ているようだ。
店内は実にスローな時間が流れており、
ゆったりとくつろぐことが出来るからであろう、
ここがつくばだということも忘れて
ついつい私もお酒がすすむ。。。
ＰＲＩＶＡＴＥ ＣＯＣＫＴＡＩＬＢＡＲ
「ＳＡＭＳＡＲＡ」
茨城県つくば市上ノ室１４８３－１
０２９－８６３－０６８６
http://www6.plala.or.jp/SAMSARA/
最寄り駅
ＪＲ常磐線土浦駅よりタクシー１５分
お店一口メモ・・・
熱烈なバーファンには
遠方ですがぜひとも一度足をお運び頂きたい
隠れ家的なグッドバーです。
ノーチャージでドリンク料金も
カクテル １，０００円～と
大変良心的な価格設定です。
完全電話予約制のお店ですので
電話なさるのをお忘れずに。
ホームページのコラム等も
大変読み応えがあります。
