Ｃｏｍｐａｓｓ
№２３
「ｊａｚｚ ｓｐｏｔ ＪＥＲＩＣＨＯ」
「城桜」
札幌の中心部、市民が憩う大通公園から
南方向へ３条（３区画）ほど歩く。
とあるビルの階段を地下へと降りると
廊下右手のバードア奥から心地よいジャズ音が聞こえてくる。
「ｊａｚｚ ｓｐｏｔ ＪＥＲＩＣＨＯ」。
店名は旧約聖書中の物語に基づき作られた有名曲
「ジェリコの戦い」がその由来となっている。
ドアを開けるとバーカウンター席、そしてテーブル席には
ライブを終えたと思われる某大学のジャズ研メンバー達が
演奏後の一杯を皆楽しんでおり
自分の演奏などを振り返り大変会話が弾んでいる様子だ。
店奥上部には往年の名器ＪＢＬオリンパスが鎮座し
アートペッパーのアルトが私の耳へと気持ちよく飛び込んでくる。
壁棚に保管されているアナログ盤
ＣＤ合わせて５，０００枚以上。
私も空いているストゥールへと早速腰掛けると
ジプシー出身のギタリスト、トマティート、
いやビートルズのジョン・レノンを思わせる髪型の
渋谷純一マスターがいらっしゃいと迎えてくれる。
マスターの左手にはアルテックのアンプや
オルトフォーンのカートリッジの姿も見え
昔よく通ったジャズ喫茶の佳き香りを思い出した。
渋谷さんは桜がまこと美しい城下の町
青森県弘前のご出身。
弘前といえば大学などでも有名であるが、
「豊盃」や「じょっぱり」といった大変美味い日本酒も
輩出している私の大好きな土地でもある。
ギターがお好きで学生時代はフォークソング部員として
練習、そして演奏なさっていたそうだ。
「辛汗」
そんな渋谷さんのもう一つの顔がバイク乗り。
現在はホンダのオフロードバイクAfricaTwin乗りであり
バイクに乗って温泉に入りに行くのが楽しみの一つとのこと。
実は私も大の温泉好きでありったりする。
今でも思い出すのが北海道東部阿寒の神秘湖である
「オンネトー」側の高さ約30mの断崖から
温泉が流れ落ちる湯の滝の天然温泉に
当時私の所属していたバスケットボール部の連中みんなで
真夜中に車で乗り付け外灯もない真っ暗な中温泉に浸かり
空を見上げるとまさに満天の星空が
我々の外灯と成り代わってくれたこと、
その際に生まれて初めて「流れ星」を肉眼でハッキリと
しかも一つや二つといった数ではなく
５分に１度程度見ることが出来た感動を
今でも素晴らしい思い出として胸に刻んでおり
オーダーしたジョン・コリンズを呑みながら
そんなことを回想していた。
喉を潤したところでちょうど腹も減ったので
札幌でちょっとしたブームとなっているスープカレー、
そのファンの間でも噂になっている
JERICHOカレーを渋谷マスターへお願いすると
焦げ茶色をしたじっくりと煮込まれたのであろう
カレースープ皿とライス皿が別々に運ばれてきた。
早速スープとライスとを絡め一口味わう。
熱々でしかもスパイス辛がガツンとくる濃厚な味。
汗が自然と出てくる辛さなのだがこれがまた美味く
ホクホクのニンジンとジャガイモもイケる。
辛い故ついついドリンクもすすんでしまう。
この他にも北海道では鶏の唐揚げを
一般的にこう呼ぶ「ザンギ」や
手作りピザなどメニューも大変豊富であり
どれも渋谷さんの料理センスが光る。
やっと腹も満たされたところでビールをチェイサーに
ターキーのストレートを頂きながら
ジッと目を閉じてもう２～３曲聴くとしよう。
「ｊａｚｚ ｓｐｏｔ ＪＥＲＩＣＨＯ」
札幌市中央区南３西３
サンスリービル Ｂ1Ｆ
０１１－２３１－２５２９
http://www.d3.dion.ne.jp/~jericho/
最寄り駅
札幌市営地下鉄大通駅より徒歩５分
札幌市営地下鉄南北線すすきの駅より徒歩５分
お店一口メモ・・・
札幌をはじめ北海道のジャズファンにはお馴染みのお店です。
学生さんからご年配の方まで幅広い客層が集います。
渋谷マスターの優しくそしてフレンドリーなお人柄は
初めてご来店なさるお客様や女性お一人でも
まず安心なさることでしょう。
多くのジャズプレイヤーも渋谷さんへ
信頼を寄せていらっしゃいます。
ジャズライブも積極的に展開されており、
生ジャズを是非聴きたいという方は
お店のWEBページをチェックして下さいね。
