Compass

№22    

「BARレモンハート」


 

「檸檬」

 

ここは西武池袋線大泉学園駅。

 

数年前に駅前再開発事業が完了し

 

駅周辺は昔とすっかりとその姿を変え

 

活気溢れる街へと変化しつつある。

 

西東京のベッドタウンとも言えるこの街に

 

バーファンには「お馴染み」のお店がある。

 

「BARレモンハート」。

 

おや?!っとお気づきの方も多いかもしれない。

 

そう、古谷三敏氏の酒コミックに登場する

 

場末の香りタップリなあの名店である。

 

コミックに登場するマスターや松ちゃん

 

個人的には一番好きなメガネさんは

 

もちろんいるわけでは無いが

 

漫画の作者である古谷三敏氏が

 

オーナー経営なさっているお店である。

 

お店で使用されているコルク製コースターには

 

腕を組んだ「マスター」が描かれており

 

レモンファンにはたまらないであろう。

 

駅の近く、一軒のビル地下の階段を下ると

 

そこにはガラス窓付きの木製ドアがあり

 

静かにドアを開けるとカウンター席は

 

地元の常連さんやモルトファンの若い男性

 

マティーニ好きな女性のお客さんなど

 

お酒とお店をこよなく愛すお客さんで賑わっている。

 

チーフバーテンダーは伊藤 学氏。

 

やや小柄でお洒落な眼鏡が佳く似合う。

 

伊藤さんは歌舞伎町の名店であった

 

「いないいないバー」の藤田氏の元で

 

バーテンダーとしてのご経験を積んだ方であり

 

洋酒やカクテルの知識も大変深く

 

コミック「レモンハート」のマスター同様

 

お客さんからのご質問にも丁寧に対応し

 

細かくお酒の特徴等を説明してくれる。

 

そして特筆すべきは伊藤さんが毎日正午から

 

仕込みに取りかかる日替わりオードブル。

 

例えば松前産のズワイガニのボイル身を

 

ウオッカに軽く漬け込み有機野菜と

 

組み合わせて盛りつけたりなど

 

食材は赤字覚悟で佳いモノだけを使用する。

 

「自分が旨いモノが大好きなので

 

これは趣味でやっているんですよ。

 

お店にいらっしゃる多くのお客さんは

 

ごまかしなど通用しない舌の持ち主ですから。」

 

という一皿は一流レストランにも引けを取らない。

 

 


「青蓋」

 

群馬県太田市から上京し

 

独学で調酒技術を学んだという

 

サブバーテンダー青木氏の作った

 

ジントニックでノドを潤した後

 

私の大好きなブレンデッドウイスキー

 

「ブルーキャップ」の愛称を持つ

 

「ジョンベッグ」をロックでもらう。

 

ロイヤルロッホナガーをコアとする

 

英国グラスゴー産のこのウイスキーは

 

十年以上前に生産中止となっており

 

お目にかかる機会がめっきりと減った。

 

「これでなきゃダメというお客様が

 

まだまだいらっしゃいますからね。」

 

とこのお店では仕入れを続ける。

 

バックバーの目立たないところには

 

小型のカスク樽がひっそりと置かれ

 

伊藤さんは中身の液体が変質などしないように

 

冷暖房に常に注意し我が子の如く可愛がる。

 

樽中の液体の銘柄を訪ねると

 

私の大好きなアイラモルト、ラガヴーリン。

 

もちろんすぐに一杯所望するとその液体は

 

樽中で成熟度を高め濃い琥珀色へと変化し

 

ベリースモーキーなピート香を放っている。

 

一口含むと味わいも一層シッカリと変化し

 

これはモルトファン必飲の一樽である。

 

都心から少し離れた土地柄もあるせいか

 

気を張らずにリラックスした時間を

 

過ごすことが出来る「レモンハート」。

 

これからも愛し続けていきたいバーだ。

 

 

 


「BARレモンハート」

 

東京都練馬区東大泉4-2-15

 

原田屋ビルB1F

 

03-3867-1682

 

最寄り駅

 

西武鉄道池袋線大泉学園駅より徒歩3分

 

お店一口メモ・・・

 

シングルモルト1,000円~

 

カクテル1,000円~

 

チャーム+チャージ 1,000円

 

古谷さんが自らお書きになった

 

レモンマスターが描かれている

 

グレンリベットのボトルなど

 

レモンハートファンにはたまらないお店です。

 

あなたは松ちゃん派?メガネさん派?