Compass№160

「Bar’s BAR」


  

「蓮花」

 

バブル経済が終焉し都心の大歓楽街が大きく変化している。

 

特にかつて「華やか」とされた銀座や六本木は顕著であり、

 

それまでは姿を見なかったチェーン居酒屋やパチンコ店が

 

出現するようになったことで街の空気さえ変わったと感じる。

 

私がこれにならぶ街として挙げたいのが「赤坂」。永田町の

 

奥座敷とさえ言われ、高級料亭やクラブの灯りが私のような

 

サラリーマンにはただひたすら眩しかったことを思い出すが

 

その灯りは今やパチンコ店や立ち飲み店、ラーメン店へと

 

変わってしまった。あるバーマンと赤坂の話をした際に、

 

都市研究が好きな彼がこんなことを言っていたのを思い出す。

 

「ふるさん、都市も人間と同じで赤ちゃんから子供、そして

 

成人へと成長していきます。その後中年を経て老人となり、

 

ゆっくりと余生を送るのです。」赤坂のネオンを眺めながら

 

エスプラ通り(旧田町通り)を歩くとその言葉を実感せずには

 

いられず、赤坂も少し歳をとったかなと寂しくなってしまう。

 

しかし寂しいことばかりではない。やっぱりそこは赤坂だ。

 

立地やアクセスの良さは言うまでもなく、新店、特にバーは

 

イイお店が増えているなあと思いつつ1軒のバーへ向かう。

 

重厚な木製扉を引き、フロアへ入った瞬間にバーカウンターや

 

テーブル、床に使われているヴィンテージ・ウッドの豊かな

 

ブーケが心を落ち着かせてくれる。中央には蓮のオブジェが

 

設置されており、L字をしたカウンターの右側中央にある

 

ストゥールにゆっくり腰掛けると、赤坂のバーをよく知る

 

バーファンならアッと気づくことがある。赤坂三丁目にある

 

バー「White Label」に少し似たカウンターの景色なのだ。

 

これは、赤坂にオイスターバーを展開する企業オーナーが

 

このバーをオープンするにあたり、雰囲気が大好きであった

 

「White Label」を参考にしてお店作りに当たったからである。

 

バックバーにはボトラーズのモルトをはじめとする豊富な

 

洋酒ボトル達が整然と並べられ、我々の目を楽しませてくれる。

 

今宵はシガーでも嗜みながらゆっくりバータイムを愉しもう。

 

赤坂見附「Bar’s BAR(バルズ・バー)」

 


「二楽」

 

カウンターには優しさがその笑顔からひしひしと伝わってくる

 

山口常彰マネージャーと、アンジェリーナ・ジョリーのような

 

厚唇が彼女の情の深さを表している湯田綾女史が立つ。

 

まず山口さんは浅草ビューホテルや名店のオレンジ・ルームで

 

バーテンダーとしての腕を磨き、その後数店舗の立ち上げに

 

携わった後に現在のBar’s BARマネージャーとして勤務。

 

だから浅草周辺の事には詳しく、浅草の穴場的な居酒屋話や

 

バーリィ浅草、FOSといったバーの話で盛り上がったりする。

 

一方の湯田女史は神奈川や町田でバーテンダー経験を積んだ

 

会津ご出身の女性バーテンダーである。バーを深く愛す彼女は

 

自身のステップアップも欠くことはなく、スコッチ文化研究所の

 

ウイスキー・エキスパート資格やPBO(プロフェッショナル

 

バーテンダーズ機構)参加などアクティブに取り組む女性だ。

 

山口さんはフロア全体に気を配り全体を統括し、湯田さんは

 

カクテルを作り、ウイスキーのチョイスを主に担当している。

 

そんなお二人が作り出すバーの空気、これが実に不思議。

 

前述のとおり、山口さんは浅草、湯田さんは神奈川という地で

 

バースタイルを身につけてきたのだが、ここ赤坂という場所で

 

下町らしい人情味ある浅草の空気と銀座等とは違って何となく

 

会話やドリンクスタイルが少しくだけている、でも決して

 

銀座などにも劣ることない横浜を中心とした神奈川の空気が

 

イイとこ取りで楽しめるのである。もちろんお二人とも洋酒に

 

造詣が大変深く、初心者の方も安心してウイスキーやカクテルの

 

アドバイスを受けることができるし、上級者はお酒についての

 

情報交換も行うことができる。系列店ショコラティエによる

 

生チョコレートを提供するなどお酒のお供にもこだわっており、

 

それらを実にさりげなく勧めてくれる接客も好感が持てる。

 

お二人ともこれからますますバーテンダーとしてご経験を積み、

 

お店とともに成長していくと思うが、それを見守りつづけて

 

いきたいなあと思わせるとても居心地の良いグッドバーだ。

 

 

 


「Bar’s BAR」

 

東京都港区赤坂3-6-20

 

第9ポールスタービル1F

 

03- 5114-6161

 

最寄り駅

 

地下鉄赤坂見附駅より徒歩3分

 

地下鉄赤坂駅より徒歩3分

 

お店一口メモ・・・

 

ウイスキーのみならずカクテルも大変豊富で、

 

ラヴィアンローズ、スターリーナイトといった

 

湯田女史オリジナルのカクテルやフレッシュな

 

フルーツを使用したカクテルも人気があります。

 

フードでは日替わりのパスタなどもオススメ。

 

もちろん生ハムやチーズなどのメニューもあり、

 

お酒とともに愉しみたいところでもあります。

 

また当初からウンダーベルグの提供にとても

 

力を入れており、山口さんの夢はウンダーの

 

消費量全国一のバーになることだそうです。