Ｃｏｍｐａｓｓ
№１６
「ＢＡＲ ＰＲＯＯＦ」
「証拠」
２月、真冬のススキノ。
この時期はＴＶニュース等でも有名な
「さっぽろ雪まつり」の開催期間でもあり
北海道内外から観光客の皆さんが多数訪れ
夜ともなれば北の大歓楽街「ススキノ」も
まこと賑やかになる時期である。
そして通りを歩く人々の吐く息は白深く
思わず身震いしてしまいそうな中
なぜかネオンの灯りだけは
優しく温かいものを感じさせる。
ここが私の故郷だからというだけではなく
ススキノの灯りは厳寒の中にも
どこか飲み手をもてなしの灯りで包み込んでくれる。
そんな街ススキノのとあるビルの５Ｆ
そこには北海道や札幌のバーファン
ひいては全国のバーファンにも有名な
本格バー「ＢＡＲ ＰＲＯＯＦ」の扉が
今日もお客様のご到着を今かと待っている。
シェイカーやバースプーンなどの道具がデザインされた
ウッディーなプレート横にあるバードアを静かに開けると
左右に延びるカウンターとライトアップされた
２段構えのバックバーに立ち並ぶお酒達
そしてのＰＲＯＯＦのスタッフ皆さんが
私たち飲み手を優しく迎えてくれる。
店名「ＰＲＯＯＦ」は日本語に訳すると「証拠」。
イギリスの作家、ディック・フランシスの著書だ。
彼はエリザベス皇太后のお抱え騎手として
全英チャンピオン・ジョッキーの栄冠を獲得し、
その後に新聞記者を経て推理小説を書き始める。
彼の作品はどれも「男の生き方」をストイックに
描き出しており、私も憧れる生き方がそこにはある。
「証拠」という作品には探偵ジェラード・マグレガーと
ワイン商トニイ・ビーチという主人公が偽ワインを巡り
次々と起こる殺人事件を解決していくという作品。
ご紹介するオーナーはこの作品と出会い深い感銘を受けて
バーの世界における自分の「証拠」を見つけ出したい
とのお気持ちで店名を「ＰＲＯＯＦ」としたそうである。
「長走」
マラソンがご趣味でどこか役者顔の富良野男、
オーナーバーテンダー中河宏昭氏は
札幌を代表する老舗バー「やまざき」オーナーの
山崎達郎氏の門下生、そして愛弟子であり
専門学校等でのバーテンダー講師活動や
ＮＢＡ（日本バーテンダー協会）の役員や
ＣＣＳ（カクテル・コミュニケーション・ソサエティ）の
カクテルアーティストとして
若手バーテンダーの育成をはじめ
洋酒やカクテル調酒技術のプロモーション活動を
大変ご熱心に展開なさっている。
もちろん言うまでもないことだが
中河さんの調酒技術は折り紙付きであり
アマレット・ディ・サローノ国際コンペティション
ロスアンゼルス大会国別日本第１位をはじめとして
第２回スコッチウィスキー・カクテルコンクール第３位や
第２回カリフォルニア・ストロベリー・カクテルコンペティション
ノンアルコールの部第３位
など大変輝かしい戦歴を持ち
そのしなやかな手つきから作り出される
「カクテル」という名の美しく輝く液体は
札幌、そして全国のカクテルファンを唸らせている。
私の眼前にある小説家ヘミングウェイも愛した
ラムベースのカクテル「ダイキリ」も完璧な味わいで
私の舌上から喉奥へ気持ちよく滑り込む。
また中河さんと同じカウンターで現在修行中ながら
しっかりと、そして丁寧なシェークを披露してくれる
落ち着いた物腰と端正な顔つきの大和撫子美人
宮越波瑠奈バーテンダーも一日一日
バーテンダーとしての確かな経験値を積み重ね
素晴らしいバーテンダーとしてご活躍する日も
きっとそう遠くはないことであろう。
中河さんのご趣味のマラソンと同様
根気よく長くその歩みを続けることであろう
札幌を代表する一流の本格バーである。
※現在、宮越波瑠奈バーテンダーは銀座８丁目にある
名店「ＭＯＮＤＥ ＢＡＲ」へ移りました。
「ＢＡＲ ＰＲＯＯＦ」
札幌市中央区南３条西３丁目
都ビル５Ｆ
０１１－２３１－５９９９
最寄り駅
札幌市営地下鉄南北線すすきの駅より徒歩５分
http://www.bekkoame.ne.jp/ha/proof/
お店一口メモ・・・
チャージ１，１００円（お通し一品付き）
カクテル９５０円～、ウィスキー７００円～
と価格設定も決して割高ではなく
女性一人でも安心して落ち着いてお酒を
愉しむことが出来るお店です。
中河さんオリジナルカクテルの
「シャングレナ」や「ポワ シャン」などは
カクテルファンなら是非一度ご賞味頂きたい
素晴らしいカクテルだと思います。
自家製サーモンマリネをはじめフード類も
お酒にぴったりの手作りメニューばかりです。
