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№15    

「麹屋BAR」


 

「石成」

 

東京・池袋から東武東上線急行電車に乗り約20分、

 

都内ベッドタウンの一つ、板橋区「成増」へ。

 

この地の歴史は古く紀元前から居住が確認されており

 

名の由来は室町時代に美濃地方より移り住み

 

当時は「石成村」と呼ばれていたこの地を開墾したとされる

 

田中左京「成益」という人物の名から来ている。

 

またこの辺は戦後に旧米軍住宅地があったことから

 

その名残としてスナックを中心に

 

飲食店が多いのも特徴の一つである。

 

駅南口からやや離れたところにある

 

有楽町線地下鉄成増駅に近い薄暗い路地を歩く。

 

その奥右手に見える蛍光立て看板に

 

「麹屋」の大きな文字が浮かび上がっている。

 

割と新しい感じのする木製のバードアを開けると

 

やや薄暗い店内右手のバックバーの背面壁と

 

15席ほどあるストゥール後ろ下の床が

 

優しい光で美しくライトアップされており

 

ここが一目で静かに洋酒を愉しめる

 

大変落ち着いた空間であると直感する。

 

カウンター内に立つのは清潔感溢れる青シャツにベスト、

 

そしてキッチリとネクタイ締めた大変精悍な顔つきは

 

まず40歳前後の年齢には見えないであろう

 

オーナーバーテンダー、内山尊則氏。

 

いつも誠実で迅速な内山さんの接客術は

 

恐らく警察官の職であったお父様ゆずりなのであろう。

 

 


「気質」

 

学生時代から都内中心に色々なバーを渡り働き、

 

バーテンダーとしての技術を磨き上げてきた内山さんが

 

「麹屋バー」を成増にオープンしたのが平成13年春。

 

まだまだこれから年輪を積み重ねていくお店であるが

 

内山さんのお人柄がが地元のお客さん達の心を

 

しっかりと掴みそしてその数を着実に増やしている。

 

BGMに流れるエラ(エラ・フィッツジェラルド)の

 

円熟した歌声を聴きながらタリスカーのストレートを

 

ゆっくりじわっじわっと味わいつつ

 

内山さんにどんなお酒が好きなのかをお尋ねすると

 

「ビールと日本酒を佳い肴とともにやるのが好きですよ。」と

 

満面の笑顔でほぼ毎週末の休日に足を運ぶ

 

江古田の住宅地にある某寿司屋の話をきっかけに盛り上がる。

 

その寿司店のご主人が握る寿司は

 

すべて築地物の新鮮なネタを使い

 

しゃりには適度な空気が米粒と米粒の間に入り込み

 

まさに口の中でネタ、しゃり共に

 

さらりと崩れていく絶品の握りなのであるが

 

ご主人は何せひと癖もふた癖もある職人気質、

 

本来優しくも気難しい一面有りのお方であり

 

10席ほどのカウンター席に座るお客さんが

 

皆背筋をピンと張り緊張しながら食べている。

 

皆さんには賛否両論はあると思うが内山さんはこのお店で

 

初めて身も心も正しながら食べることを覚え

 

菊水を熱燗で呑みながらそんな自分を愉しんでいるそうだ。

 

私もお店は違えども同じような経験を

 

門前仲町あたりで何度も経験しており

 

なかなか上手く言い表せないこの「好さ」を共感できる。

 

お客さんで混み合ってきた頃合いを見て

 

内山さんがバーテンダー修業時代の思い出深いという

 

角ハイ(サントリー角瓶のハイボール)をさっと煽り

 

その寿司屋で是非お会いしましょうと

 

約束して店を後にした。今宵も佳い夜である。

 

 

 


「麹屋BAR」

 

東京都練馬区旭町3-26-5

 

ルヴェール成増 1F

 

03-5383-8813

 

http://blue.banbi.net/bar/

 

最寄り駅

 

東武東上線成増駅より徒歩7分

 

東京メトロ有楽町線地下鉄成増駅1番出口より徒歩2分

 

お店一口メモ・・・

 

板橋区成増にある隠れ家的なバーです。

 

店構えは銀座や赤坂の本格バーを思わせる

 

とても落ち着きあるスペースになっており

 

ここが成増?と疑いたくなりますが

 

内山さんや麗人スタッフ○○さんなど

 

大変気さくなスタッフの皆さんが

 

お店の空気をとても和やかで

 

温かいものになさっています。

 

チャージ800円、カクテル700円~

 

ウィスキーなども500円程度から

 

各種揃っており、ワインなどもありますので

 

色々なお酒の愉しみ方を出来ると思いますよ。