Ｃｏｍｐａｓｓ №１３８
「Ｂａｒ美里」
「薄荷」
北海道オホーツク圏最大の中核都市、「北見市」へ。
大正から昭和初期にかけてハッカの生産量においては
何と世界の７割を占めていたこともある北見であるが
その由来は松浦武四郎命名の国名「北見国」にある。
「北見」の由来は、過去のこの地域の通称「北海岸」と
快晴の日に樺太が「見」える事から一字ずつ使われた。
札幌や旭川に続くバーの街として知られる「北見」は
北海道のバーファンなら一度は訪れたい街であろう。
また北海道内では屈指の「焼肉の街」としても有名で、
現在北見市内には６０店以上の焼肉店が営業しており
市内中心部をちょっと歩いていると肉の焼ける匂いが
ふと漂ってくるオホーツクのグルメな街だったりする。
佇まいも大変味わい深い老舗の大衆焼肉店も数多く、
モクモクと煙が立ちこめる店内で熱々の焼き肉を頬張る
家族連れの姿なんかを見ると何だか嬉しくなってくる。
そんな「焼肉の街」北見の地元の方々も高く支持する
名店「四条ホルモン」で「牛サガリ」「生ホルモン」
そして絶品の「レバ刺し」をタップリと楽しんだ後は
北見を代表する女性バーテンダーのお店へお邪魔する。
「Bar美里」オーナーバーテンダー、佐々木美里女史。
美里さんは北見のBar草分け「よってけや」の前田氏、
そして世界大会で優勝した帯広「真藤」藤谷女史など
素晴らしいバーテンダーの元でサービスや技術を磨き、
バーテンダーとして約２０年のキャリアを持つベテラン。
独立後ご自身の城「Bar美里」を開店し、はや５年目。
落ち着きある店内はそれほど広くはなく、美里さんが
お一人で切り盛りするにはちょうどいいスペースであり、
美しく磨かれた「くの字」型カウンターのストゥールに
ゆっくりと座って美里さんオススメの熟成したパルマ産
プロシュートを少しだけ切ってもらい、ハイボールと
ともに味わいながら一息つく。これがたまらなく旨い。
「接吻」
ショートカットに黒ベスト、そして蝶ネクタイ姿が似合う
美里さんの魅力はいつも飾らない「自然体」の接客である。
そのサバサバしたご性格から繰り広げられる本音トークは
スパッと切れ味が良く、聞いていてとても気持ちが良い。
しかも嫌みが全然感じられない。美里さんはそんな自分を
「人に気を遣うような性格じゃないし、田舎のバーだしね」
と言うが、バーテンダーとして大切な「心」を大切にする
素敵な女性であり、その一方では「姉御」と呼びたくなる
芯のしっかりした孤高の女性だ。また人には流されない
ご自身の「スピード」をコントロールする女性でもある。
私からすると、そんな美里さんは超かっこいい人であり、
それを私が言うと「そんなことあるわけないわよ。」と
軽くあしらわれるのだが、でも照れながら言う美里さんは
年下である私が言うのもなんだが、とても可愛らしいと思う。
しかし美里さんにカクテルをお願いすると眼差しは一転し
丁寧な材料計量、そしてすっと伸びた姿勢から繰り出される
シェイキングから作り出されるカクテルは実に優しい一杯。
この日私が作って頂いたのはオリジナルの「Honey Kiss 」。
クルボアジェのVSOPにアールグレイのティーリキュール、
カカオ・ホワイト、そしてフランボアーズ・シロップを加え
シェイキングしたショート・ドリンクスのカクテルであり、
ブラウンの色をしたカクテルの味わいは大変クラシカルで
どこか懐かしさを感じる味わい深い一杯に仕上がっている。
「美里さん、本当に旨いっすよ、このカクテル！」と言うと
美里さんは嬉しそうに「有り難うございます」とお辞儀して
ニカっとした笑みで応えてくれる。全国大会にも出品した
作品だけあって誤魔化しのない王道を行くテイストであり、
今宵は甘いキスの味にゆっくり酔いしれたいと思う次第である。
「Ｂａｒ美里」
北海道北見市北５条西３丁目
ナシオビル５Ｆ
０１５７－２２－８２９０
最寄り駅
ＪＲ北見駅より徒歩 ７分
お店一口メモ・・・
北見では紅一点の女性オーナーバーテンダー、
美里さんが営むオホーツクのグッドバーです。
季節のフレッシュフルーツをたっぷり使った
カクテルも人気があり、女性にオススメです。
価格が大変リーズナブルなのも魅力ですよ。
「美里節」を聞きにぜひぜひ北見へ！！
