Compass №135

「ショットハウス High-Bridge」


 

「薩摩」

 

錦江湾内「桜島」という雄大なランドマークを擁する

 

南九州の中核都市として発展する薩摩の地、鹿児島市。

 

西郷隆盛や大久保利通、黒田清輝や東郷青児など

 

大変豊かな人材を輩出する伝統と風土に力を感じる

 

風光明媚なこの都市で今宵は一杯やることにしよう。

 

もちろん目指は南九州最大の歓楽街、鹿児島「天文館」。

 

その地名の由来は1779年に藩主である島津重豪が、

 

天文・暦学研究や暦編纂のために天文観測所「明時館」を

 

この場所に設置したことから来ているそうである。

 

黒豚料理に鹿児島ラーメン、白熊アイスなど多彩な

 

グルメラインナップが揃う天文館は鹿児島巡りには

 

欠かせないスポットであり、もちろん本格Bar達も

 

ズラリと顔を揃える大変魅力的な歓楽街だと言える。

 

そんなこの街のBarファン達に支持されている一軒、

 

鹿児島天文館【ショットハウス High-Bridge】へ入る。

 

店内にはいると優しい笑顔のオーナーバーテンダー、

 

鹿児島のBar業界のけん引役である高橋弘行氏が

 

「いらっしゃいませ」と落ち着きを持って迎えてくれる。

 

700種類のお酒を用意する1985年開店の屋号、

 

「High-Bridge」はご主人の名字「高橋」の英語読みだ。

 

日本バーテンダー協会九州地区本部常任幹事を務める

 

高橋さんは鹿児島のバーテンダー陣の信頼も大変厚く

 

そのやわらかな物腰とは裏腹に大変アグレッシブな方で

 

若手の育成や鹿児島バー業界の発展に尽力する一方、

 

実は私と同様に全国各地のBar巡りも大変好きな方であり

 

銀座や札幌、大阪、福岡などへBar見聞を広めるべく

 

足を運んで旨いお酒を片手に楽しんでいらっしゃる。

 

この日もHigh-Bridgeのカウンターに下がる照明の形が

 

東京浅草の名店「BAR SOMETHIN'」と同じ形ですねと

 

いう話から都内のBarの話ですっかりと盛り上がり、

 

ここが鹿児島だということを忘れてしまいそうになる。

 

じわじわと温かい、それについつい引き込まれてしまう

 

そんないぶし銀の魅力あるオーナーバーテンダーである。

 

 


「枇杷」

 

大変座り心地良いハイバックのカウンターチェアに座り

 

サントリー角のハイボールをグイッと呑んでいると、

 

高橋さんが「角ハイと言えば昔は一番人気でしたよ。」と

 

古き良き時代を懐かしむように目を細めて話してくれる。

 

高橋さんのお隣には背が高く眼鏡が似合う鹿児島男児、

 

山中知広バーテンダーの勢いあるシェイキング姿があり

 

高橋さんに続き山中さんにオススメカクテルをと言うと

 

「鹿児島で栽培されたビワのカクテルはどうですか」と

 

自信ある声調で薦めてくれる。もちろん注文しよう。

 

鹿児島のバーにおいて共通している特徴的な事と言えば

 

フレッシュフルーツとして「ビワ」が供されることだ。

 

5月から7月頃にかけて旬ともなれば旨そうなビワが

 

他フルーツとともにカウンターに並ぶ姿を見る事が出来る。

 

特に暖かい時期にはフローズン系が頻繁にオーダーされる

 

というのも大変印象的でありミキサーの音が頻繁に響く。

 

ビワは腰痛や肩こり、冷え性など身体にも良い作用を持つ

 

甘みある果実であることから女性にも人気が高いそうだ。

 

「桜島をイメージして作ってみました」というオリジナルは

 

ビワ色をしたフローズンの盛り姿がまさに山型をしており、

 

「おおっ、マジで桜島ですよ~、このカクテルは!」と

 

思わず言ってしまう私に高橋、山中両氏が微笑んでくれる。

 

そんな素晴らしいスタッフに恵まれるHigh-Bridgeの店内は

 

いつも活気と笑い声に満ちあふれている温かな空間である。

 

 


「ショットハウス High-Bridge」

 

鹿児島県鹿児島市山之口町6-8

 

畠田ビル2F

 

099-225-1911

 

最寄り駅

 

鹿児島市電高見馬場駅より徒歩4分

 

お店一口メモ・・・

 

渋さのある声も魅力的な高橋マスターをはじめ

 

スタッフみなさんがお客様にリラックスして

 

お酒を楽しんでもらおう!という意気込みが

 

ひしひしと伝わってくるオーセンティックバー。

 

マルゲリータやブルーチーズの自家製ピザや

 

フィッシュ&チップスなどフードも取り揃い、

 

料理を食べながらカクテルを楽しむお客さんも

 

多くいらっしゃる落ち着きのあるBarです。