Compass №126

「MONDE BAR」


 

「主水」

 

仕事を終えて銀座の「三州屋」で軽く呑んでいると

 

どうしても讃岐うどんを啜りたくなってしまった。

 

だがしかし、カクテルも2~3杯呑みたいところだし、

 

さてどうしたものかと思いながら銀座8丁目へと向かう。

 

そうだそうだと一人で頷きながらとあるビルの階段を

 

静かに降りた地下入口には「会員制」と書かれている。

 

ドアを開けて店内へと入る。ここは「MONDE BAR」。

 

帽子好きなバーテンダーとして有名な長谷川治正氏が

 

時代劇「必殺シリーズ」中村主水から店名を名付けた

 

昭和60年オープンのオーセンティックなバーであり

 

アトレ品川内の支店では昼の11:00から呑めるという

 

バーファンにはたまらないサービスを提供している。

 

カウンターの照明は銀座のバーとしては明るく設定され

 

バーにそれほど慣れていない方でも、肩の力を抜ける

 

オープンな空気が店内に流れているのが特徴である。

 

カウンター内では常時3名程度のバーテンダー達が

 

お客様と楽しく会話をしながらお酒を提供しており

 

オーブンからピザを取り出す麗人女性バーテンダーが

 

「ふるさん、いらっしゃいませ。」と声を掛けてくれる。

 

彼女はプロフェッショナル・バーテンダーズ機構(P.B.O.)

 

カクテルフェスティバル2007にて見事に金賞を受賞した

 

宮越波瑠奈バーテンダー。宮越さんは北海道名寄ご出身。

 

札幌の名バーテンダー中河氏が営む「BAR PROOF」で

 

その技術とサービスを磨いた後、念願であった銀座へ。

 

有名バーテンダーを数多く輩出する「MONDE BAR」で

 

長谷川さんの元、銀座のサービスというものを学ぶ。

 

ブルーを基調としたベストがよく似合う宮越さんに

 

まずはグレイグースのウォッカ・トニックをオーダー。

 

良き香りとまろやかな味わいの一杯でまずノドを潤す。

 

 


「饂飩」

 

「昨晩、菊池さんがお越しになりまして、ふるさんの話を

 

丁度していた所なんですよ。」と笑顔で話す宮越さんに

 

ギムレットをお願いする。バックバー中央下に設置された

 

ガラス窓のチルドケースからよく冷えたカクテルグラスを

 

静かに取り出し、材料を手早くカウンター上に並べて

 

シェイカーへと注ぎ込む。無駄なき仕事ぶりは安心感がある。

 

菊池さんというのは2006モナンカクテルコンペティションで

 

グランプリを受賞した京王プラザホテル札幌のメインバー勤務、

 

菊池美風バーテンダーのこと。実は菊池さんと宮越さんは共に

 

北海道の名寄・風連地域のご出身ということで親しくしており

 

京王プラザホテルグループのカクテルコンペティション終了後

 

お店へいらっしゃったとのことだ。全国的に活躍する二人は

 

良き先輩・後輩の関係でもあり、また良きライバルでもある。

 

カウンター内では男性スタッフがフライパンを振っており

 

料理の旨そうな匂いが私の食欲を思いっきり掻き立てる。

 

「MONDE BAR」では料理メニューにも大変力を入れており

 

フグ料理、そして何とすっぽん料理まで登場することもある

 

とんでもないバーだったりするのは長谷川さんの成せる技。

 

その長谷川さんの元で調理の腕も鍛えるスタッフ皆さんの

 

料理知識もなかなか。表現豊かに旨そうな料理を紹介する。

 

白州18年のソーダ割りを頂いたところで、例のヤツ行こう。

 

そう、讃岐うどん。宮越さんが鍋を火に掛けてうどんを作る。

 

バーで手打ち蕎麦を手繰れるってお店も私は知っているが、

 

讃岐うどんってのもアリだななんて一人で勝手に考えてると

 

とろろ昆布がトッピングされた熱々の讃岐うどんが完成。

 

早速、ふうふう言いながら讃岐うどんを啜る。銀座のバーで

 

ズルズルとノイズを立てながらうどんを啜っていることに

 

何となく違和感を覚えるが、それはどこか優越感さえもある

 

不思議な感覚であり、「MONDE BAR」ならではと言える。

 

「酒」「食」「人」それぞれが個性的でありながらも上手く

 

バランスを取っているこのお店を私は大好きでならない。

 

 

 


「MONDE BAR」

 

東京都中央区銀座8-11-12

 

正金ビルB1F

 

03-3574-7004

 

最寄り駅

 

JR新橋駅銀座出口より徒歩8分

 

地下鉄銀座駅A3出口より徒歩9分

 

お店一口メモ・・・

 

店内に入ると広々とした空間にはカウンター、

 

テーブル席、そしてカードゲーム用テーブルが

 

設置されており落ち着いた空間が広がっています。

 

お客様は50代~60代の常連さんが中心であり

 

お一人で来る方もいれば男女2~3人で入店し、

 

カウンターでゆっくりと会話しながら料理や

 

洋酒を愉しむというかたも多く見受けられます。

 

スタッフは皆さんとても明るく話し好きな方が

 

多いのが特徴で初めてのお客さんでもすぐに

 

打ち解けるアットホームな雰囲気あるお店です。

 

バーとしてだけだはなく食事をするレストラン

 

としても大変重宝するお店であると言えます。