Compass №113

「ark BAR」


 

「名駅」

 

名古屋「名駅三丁目」。

 

JR名古屋駅からすぐ近くのこの地域一帯は

 

昨今の再開発等によりオフィスビルが増加を続け

 

これに伴いサラリーマン人口も急速に増え続けている。

 

名古屋を代表する歓楽街といえば「栄」や「錦」だが

 

そのサラリーマン達が今、「名駅三丁目」を中心とした

 

飲食店でお酒を愉しむというムーブメントが起きている。

 

これからもますます目が離せないこの「名駅三丁目」に

 

名古屋のバーファンの皆さん達が待ちわびていた

 

一艘の「方舟(はこぶね)」が舞い降りた。

 

2006年4月18日オープン、「ark BAR」。

 

名駅三丁目のビル地下にシェイカーを象ったシンボルと

 

店名ロゴが書かれたサインボードに灯りが点っている。

 

その左側にあるまだ真新しい木製のバードアを引くと

 

まだ開店間もないというのにどこか風格すら感じさせる

 

落ち着いた雰囲気と心地よい空気の広がりが伝わってくる。

 

まず美しく磨き上げられたバーカウンター席へ静かに座り、

 

バックバーを眺めていると、妙に親しみある感じを覚える。

 

そうだ、私も佳く通っている銀座の名店「テンダー」だ。

 

あのバックバーを彷彿とさせる大理石のレイアウトは、

 

さしずめ名古屋の「リトルテンダー」といった趣がある。

 

今宵のスタートはジン・トニックで。麗人バーテンダーの

 

水谷美紗女史が目の前でビルドしてくれる。差し出された

 

その一杯は酸味を抑えて優しく仕上がっており、遠方から

 

訪れた私にとって一日の疲れを癒すスタートには最適だ。

 

その隣には白バーコートが似合う高見裕樹バーテンダーが

 

常連のお客様達と葉巻等の楽しい会話で盛り上がっており

 

その高見さんに数種類のショートカクテルをお願いする。

 

彼は材料をメジャーからシェイカーに注ぐ動作の中にも

 

「仕上がりのイメージ」を頭の中で作ろうという「目」を

 

なさっているのが印象的であり、仕上がりも素晴らしい。

 

後程ご紹介するオーナーバーテンダーとともに名駅にある

 

「名古屋マリオットアソシアホテル」内のメインバー、

 

「エストマーレ」にてバーテンダーとしてのご経験を積み

 

そこで学んだカクテル技術や創作力を遺憾なく発揮する。

 

 


「天翼」

 

そしていよいよ主の登場である。

 

清潔感ある白バーコートに身を包む、西川拓真氏。

 

ホテルバーメンとしてご経験を積まれ、2002年に行われた

 

アルマニャックカクテルコンクール:ショート部門で準優勝、

 

2003年HBA(社団法人日本ホテルバーメンズ協会)&MHD

 

共催カクテルコンペティション全国大会タンカレー部門では

 

見事に優勝なさった折り紙付きの実力派バーテンダーである。

 

西川さんとはバー「エストマーレ」在籍時代にお会いした際に

 

独立し自店をお持ちになることをお聞きし、オープンしたら

 

必ずお邪魔させて頂きますと約束して早くも半年が経っており、

 

大変遅ればせながらようやくこの「方舟」へ乗舟させて頂いた。

 

その西川さんに全国大会優勝作品である「LITTLE WING」を

 

オーダー。無駄のない、そして力強いハードシェークによって

 

仕上げられた液体がカクテルグラスに勢いよく注がれていく。

 

タンカレーのジンをベースとして柑橘系で纏められた一杯は

 

西川さんがお子さんという一番の宝物を授かった際に誕生。

 

ネーミングはそのお子さんを天使に例え、その「小さな羽」と

 

名付けたそうである。デコレーションの二枚羽が何とも可愛い。

 

早速、グラスを持ち上げその液体を静かに口へと注ぎ込むと

 

柔らかくそしてサッパリとして完成度の高さを改めて実感する。

 

安心感のある味わいは、西川さんが尊敬して止まないという

 

銀座「テンダー」の上田和男オーナーバーテンダーに通ずる。

 

一歩一歩そのサービスや調酒技術に磨きを掛け、心の師である

 

上田さんに追いつき、追い越してもらいたいと願いながら

 

そろそろ時計もイイ時間なのでお店を後にさせて頂くことに。

 

帰り際に西川さんから大切な「ark BAR」の胸章を

 

特別にプレゼントして頂いたことに深く深く感謝しながら

 

名駅三丁目を後にして名古屋Bar巡りへと歩を進める。

 

 


「ark BAR」

 

愛知県名古屋市中村区名駅3-16-22

 

名古屋ダイヤビルディング1号館B1

 

052-581-0229

 

http:// www.ar k-comm unity. co.jp/

 

最寄り駅

 

JR・名鉄・近鉄・地下鉄名古屋駅より徒歩3分

 

お店一口メモ・・・

 

名古屋注目のエリア「名駅三丁目」に誕生した

 

落ち着きあるオーセンティックバーです。

 

営業時間16:00~、テーブルチャージ無しという

 

ドリンカーには大変嬉しい設定となっております。

 

アークバー特製カツサンドやオイルサーディンのねぎ焼きなど

 

フード類も充実しており、食事をしながらお酒を愉しめます。

 

また、シガーも各種取り揃っておりますので

 

洋酒とのマリアージュもよろしいかと思います。

 

老若男女問わずお客様がゆっくりくつろげる懐の深いお店です。